水底を眠らせる(和久井→浜岡)

タイトル:水底(みなそこ)を眠らせる

1首目

詞書

1994年6月。自然と身構えていた。気を抜くと懐に入り込んできそうな人だと感じたから。

短歌

近寄らず知りたいことはとくになくでも多尾さんの隣で笑う

2首目

詞書

1999年11月。自分と浜岡さんに共通点があることを知った。

短歌

手をとめたままに話した間があって視線がふたつ波多野へそろう

3首目

詞書

2000年1月。二人部屋でたわいもない雑談を交わして、ふと会話がとぎれた。

短歌

沈黙は並ぶ毛布へほどけてく足の先までぬるくつつまれ

4首目

詞書

2000年7月。レース結果一覧の数字をたどると数字以外の情報が胸をかすめる。

短歌

成績の確認でなぜ思い出す叩かれた肩はずんだ声が

5首目

詞書

2000年10月。無意識に目で追いかけていたなんて気がつきたくなかった。

短歌

閉じて消したい霧つむじ夢に遭う滲む押入れレ点 点滅

6首目

詞書

2000年12月。彼におごられた缶のプルタブに指はしばらくとまっていた。

短歌

自分だけだとわかってる手の熱をつめたい缶へなじませてみる

7首目

詞書

2001年2月。めんどうな動揺はうれしい夜の高揚へまぎれさせよう。

短歌

「よかったな」 抱かれた肩が さわいでもちょっとだけならそう決めたから

8首目 

詞書

2001年6月。彼の頬に陽がさして、うぶげが淡くゆれていた。ただ目を向けただけにしてはたぶん少し長かった。

短歌

輪郭を夕陽が透かし「また明日」まぶたをとじたまだひかってる

これは短歌アカウントに掲載していたものです。デミロマの和久井が浜岡に惹かれていくならどういう感じかなと考えながら作りました。
原作で和久井と浜岡がそろって登場する回って、和久井の祝勝会が初なんですよね。ふたりが知りあったであろう和久井のデビュー年の1994年から、古池グループが組まれたであろう1999年、そして祝勝会があった2001年。どういう関係が築かれてきたのか気になります。
※西暦が間違ってたらすみません、こっそり教えてください。